「売る」から「売れる」へ。水野学のブランディングデザイン講義の感想
タイトルに惹かれて読んでしまった。
「売る」から「売れる」 ぜひ、そうありたいものであります。
作者さんの事は何も知らなかったのですが
ゼロからのブランド作りやロゴデザイン、パッケージデザインなどを手掛ける
とても幅広いお仕事をされている方で
「くまモン」のキャラクターデザインをした人です。
クリエイティブディレクター、クリエイティブコンサルタントという肩書で
この本は慶応義塾で行われた講義を本に合わせて編集したものです。
まさしく何者?って感じがしますが
物が満ち足りている昨今、選ばれる商品作りというのは
いいものを作れば良い。言うわけにはいかず
さりとて奇をてらえばいいという事もなく
「ブランド」が大事らしいのです。
あの企業らしいな、と思ってもらえるイメージ作り。
「ブランドとは見え方のコントロールである」と
クリエイティブの事をよく分かっているうえに社会的な戦略を考えるという
それがクリエイティブコンサルタントの役割で
いま需要の割に担い手が不足しまくっている職業だとか。
美的な事はなんだか専門教育を受けていないと判断付かないとか
多くの人がセンスコンプレックスを持っている。と
ホンマに好き嫌いを別にして美の最適な判断を下すのはためらうもの。
水野氏はセンスは生まれつきのものではなく後天的に磨けるものだといいます。
センスとは何か?
「センスとは、集積した知識をもとに最適化する能力である」と
ハッキリ言いきってくれて気持ちいいです。
この定義のもとにセンスを磨くには知識の集積をすればいいのですが
やみくもに情報をあさるのではなく
①王道、定番を知る
②流行をみつける
③共通点をみつける
この3つのテーマを持って調べるといいそうです。
大事なのは客観的視点で見ること。
たくさんの資料を見ながら
多くの人が「王道と感じるものは何か?」と考えながら見ると良い。と
もうね、ここまで教えてくれてすごくいい本読んだな~と思いました。
こんなに教えてくれてありがとーって
本は淡々としていてすごく読みやすく
2時間くらいで一気に読んでしまいました。
本の後半ではプレゼンテーションでつかった企画書も載っています。
56枚もの企画書は余白を多くとっていて1pに1言しか書かれてなかったり
データは載せずに考えたことだけが載っています。
紙芝居方式と言って
手紙のような文章がゆっくりと展開されて説得力があります。
けっこう目からウロコで感動しました。
どこまでも論理的で丁寧に具体例を紹介しながら語ってくれて
受け手に対して優しく分かりやすかったです。
デザインをする人だな~と思わされました。
すごく大人の知性を感じました。
こいういう知性は心地いいです。
この本は知らなかった事を知って得した。というだけじゃなくて
読んで心地よかったです。
デザインやブランドに関心ない人にも
こんな考え方があるんだよ
こんな本があるんだよってお勧めしたくなりました。