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映画「ひろしま」を観ました

 
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常夏さわや(tokonatsu sawaya) 1981年神戸市生まれ 現在埼玉県川口市で夫と二人暮らし。  まんが、イラストの受注製作をしています。

「ひろしま」という映画は

原爆投下から8年後に

被爆者含む広島市民8万8500人を出演させて撮られた日本映画です。

もうこれを知っただけで見たくなりました。

ベルリン国際映画祭で長編映画賞を受賞した作品なのに

日本では上映予定館が「反米的」として上映中止にして

あまり知られることのない作品となっていました。

半世紀を過ぎてから当時の監督補佐をしていた方の息子さんが

自主上映を頑張って

それが外国に日本映画を売るプロデューサーの目にとまり

この映画は世界に売り出されるようになりました。

 

今年の8月にTVで放映されて

本篇が放映される前日に

関連ドキュメンタリーがTV放映されたそうなのですが

そちらは知るのが遅くて見れませんでした。

本編は録画して8月17日の晩に見ることができました。

1時間47分の白黒映画です。

 

物語は原爆投下8年後の広島県内のある学校から始まり

皆で聞くラジオ放送や生徒が読みあげる本などで

アメリカの罪をハッキリと言葉にして表わし

学校の生徒二人にスポットをあてて

原爆の日から今日に至るまでを回想し

ぐるりと最初と最後の世界観が繋がって未来へ・・となっています。

 

まず最初の方の学級会のシーンで

先生と生徒が語らっている内容にビックリしました。

クラスの中で被爆者が3分の1も居るのに

原爆の被害の実態を知る人が当事者以外に居ないのです。

原爆投下時は色々あったんだろうけど

その後は元気に生きてるでしょ?ってな認識で

当事者は突然鼻血が出たり疲れやすかったり

大なり小なり原爆の後遺症で苦しんでいるのに

それを言うと笑われたり

「原爆に甘えてる!」とか言われるという

 

物乞いをしたり神にすがったり見世物になって暮らしている人以外は

被爆者は何も悪い事をしてないのに密やかにして

醜いケロイドを隠して暮らしていたのでした。

 

物語が原爆投下当時を描いて見せて

これほどの地獄があったのに

たった8年でそれをすっかり過去にしてしまえるのかと

信じられない思いがしたのですが

今の日本も3.11が同じような事になっている気がしました。

 

映画が見せてくれた原爆投下当時の地獄絵図は

昔の映画ですから

怪我がメイクって分かるカンジで

画面モノクロで良かったな、と思ったりするのですが

ボロボロになった人々に軍人が

「戦時中だから気を緩めるな」と言っている所や

避難所病院で全身に火傷を負った子供が

「さむいさむい」と言っているのに

大人が「うるさい!泣いてもどうにもなるか!」と言っているのが

見た目以上の地獄に思えました。

 

むしろこの映画では

原爆で燃える街で

怪我人同士支え合いながら力尽きていく人々や

歌を歌って励まし合って亡くなっていく人々を

美しく描いていました。

 

ボロボロになりながら

変わり果てた街中を身内を捜して彷徨う人を描いて

やっと会えたと思ったら命の尽きた時

そんな気の毒な様を連鎖的に見せてくれた上に

生き残った子供が年月を経て大きくなって

年下の孤児たちにアメリカ兵に売れる土産物を教えている。

戦争が終わったのに浮浪児が世代交代してずっと居る恐ろしさ。

 

食べていくのに必死な浮浪児は無視して

大きな教会や平和の碑が建っている。

「安らかに眠って下さい 過ちは繰り返しませぬから」と

モニュメントに刻みつつ

町工場で砲弾を作ったりしている。

この映画はこうした対比と矛盾を描き

人の世の無慈悲さを責めていると思いました。

ものすごい怒りと悲しみを上品に美しく表現している傑作です。

10年前に見るよりも今見た方が心に刺さると思います。

 

参考

https://youtu.be/UwnaJtPuP1g

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B2%E3%82%8D%E3%81%97%E3%81%BE

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