主婦をしながら漫画・イラスト制作してます。常夏さわやのブログ

「なぜわたしは町民を埼玉に避難させたのか」を読んで励まされた話

 
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常夏さわや(tokonatsu sawaya) 1981年神戸市生まれ 現在埼玉県川口市で夫と二人暮らし。  まんが、イラストの受注製作をしています。

知人が井戸川裁判の支援をしていて井戸川克隆氏の事を知りたいと思い
この本を見つけました。12月に購入して年末年始に読んでいました。

この本は南相馬市出身のフリーライターの佐藤聡氏が
福島県双葉町の元町長の井戸川克隆氏にインタビューした本で
用語解説や資料がたくさん載っています。
この国で何があったのかを伝えようとする意志に溢れた本です。
井戸川氏はとても真っ直ぐに誠実に体験や当時の思いを語ってくれます。
熱がこもっていて引き込まれました。

今は埼玉県民な私も2011年当時は兵庫県民でこの本を読むまでは知らないことばかり。
2011年3月に福島県双葉町の町民7000人が埼玉県に避難していたとは全く知りませんでした。
放射能から距離をとるという井戸川町長の判断が早かったので双葉町はまとまって県を出れたのでした。
後から県の対応が「県民を県外に出さない」になってしまって
他の市町村の県外非難は叶わなかったと。
読んでいてもう、福島県の対応にイライラしました。
賢明な町長が居るのに県知事や大臣が解っていなくて
守れるはずの人々が守られないで苦労している。
「福島に遷都しよう!」「皆現場に行け」って言いたくなりました。

原発事故後に加害者が全然現れなくて税金で事故後処理をやっていることや
中間貯蔵施設が福島県内に強引に作られようとしていること
福島実施の県民健康調査は本人が結果を見るのに情報開示請求をしなければならないこと
実際には鼻血や嚢胞など健康被害が多くの県民に出ていること
事故前からの話もあって
地震が予測されていたことや
原発があるからと言って町が豊かになるとは限らないことや
電力会社の広報部が何でも知っていて国民が気をつけるべき情報機関であること
他にも色々日本人が知っておくべきことが書かれています。
事故がなぜ起こったかの分析もよくされていますし
「仮の町を用意すべき」など新しいアイデアも書かれています。
井戸川氏は機械などに詳しく博識で賢明で果敢で本当に凄いです。
こんな人が居るんだなって驚きます。

井戸川氏は2014年の福島県知事選挙で「脱被爆」を訴えて立候補されました。
「脱原発」は掲げても「脱被爆」を掲げる立候補者は居なかったと。
ご自身も被爆されていて体調不良を抱えながらも最前線で戦ってこられた。

「脱被爆」という言葉はメデイアがカットしているらしく社会から抹消されているようです。
原発は被爆するからやめないといけないんじゃなかったけ?と思ってしまいます。
「脱原発」はよくて「脱被爆」はダメなのか?と思います。

「美味しんぼ問題」についても書かれていて興味深かったです。
日本社会の被爆の位置づけが「美味しんぼ問題」に表れている気がします。
このブログで以前、映画「ひろしま」の感想を書きましたが
あの映画でも被爆者が体調不良を訴えると「甘えている」と言われていました。
運悪く被害者になってしまった人は何事の無いかの様に切り捨てられるのが日本。
ずっとそうなのかって思ってしまいます。

今も「コロナはただの風邪」という人がいるけれど、どこまで言っていられるのか
被爆もそうなんですがコロナも誰でもかかる可能性があるものです。
「他人事と思わないで無関心をやめて命と財産を守るために真剣に考え、行動せよ」と
日本におこる災いが日本人に諭しに来ているようです。

本の中で井戸川氏は国民の皆さんに向けて
「なんであなた達は最初から負けているんだと。負けている話をするなと」
勝ちなさい」と言っていました。
これは凄い大きいことだなと思いました。こんなにも苦労されている方から激励されたのです。
「がんばれ」って 本当に諦めている場合じゃないんです。がんばらないと。

この本は2015年4月初版発行された本なのですが
2015年11月から井戸川氏は国と東電に被害の完全な回復を求める裁判を起こしています。
「井戸川裁判」と呼ばれて今も続いています。

http://idogawasupport.sub.jp/

 

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